相続対策

【税理士が解説】相続対策は何から進めるべきか?税金対策と遺産分割の関係について解説します。

相続対策というと「税金対策」をイメージされる方も多いと思われます。
仕事柄、様々な相続対策のお手伝いしてきましたが、この「税金対策」から進めることは、ベストな対策ではありません。
本投稿では、相続対策は何から進めるべきか?について解説を行います。

相続対策とは

相続対策とは、ご相続により発生するであろう課題を抽出し、その課題について対策を行うことを言います。
ご相続により発生するであろう課題としては、次の課題が想定されます。

  1. 遺産分割ができない可能性、遺産分割でもめる又は長期化する可能性
  2. 相続人が相続財産の内容を把握することが困難、相続手続きに時間がかかる可能性
  3. 相続税が払えない可能性
  4. より多くの財産を残したい(いわゆる税金対策が該当する部分)

上記の通り、税金対策は、相続対策の一部にすぎません。
なお、税金対策を行うためには、遺産分割が前提であり、遺産分割ができないと次のステップに進むことができません。

遺産分割ができない場合とは?

遺産分割ができない場合とは、相続人の誰かが行方不明(音信不通)であったり、相続人に意志判断ができない場合が該当します。相続人に意志判断ができない場合には、認知症等の病が要因であることが多く、実務上もこのようなケースは多くみられます。

認知症の有病率は年齢とともに急峻に高まることが知られています。現在、65歳以上の約16%が認知症であると推計されていますが、80歳代の後半であれば男性の35%、女性の44%、95歳を過ぎると男性の51%、女性の84%が認知症であることが明らかにされています。わが国は世界一の長寿国であり、認知症と共に生きる高齢者の人口は今後も増加し、2025年には高齢者の5人に1人、国民の17人に1人が認知症になるものと予測されています。

出典:地方独立行政法人 東京都健康長寿医療センター研究所

遺産分割協議は、相続人全員の合意が必要となります。相続人に意志判断できない者が含まれている場合には、全員の合意することができませんので遺産分割協議は成立しません。
この場合、成年後見制度により遺産分割協議を行うことが可能ですが、成年後見制度は「本人の保護」のための制度であることから、まったく財産を承継しないような分割を行うことは認められず、原則として「法定相続分が確保された遺産分割協議」である必要があります。
成年後見制度の利用の多くは配偶者であることが想定されますが、配偶者が多額の財産を相続した場合には第二次相続でより多くの相続税が課税される可能性が考えられます。
(認知症対策のひとつに民事信託があります。活用事例については、民事信託の活用をご参照ください。)

相続対策の最新事例については、こちらを参照ください。
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