税金対策

【税理士が解説】年15%以上の節税商品?iDeCo(イデコ)はサラリーマンでもできる最強の税金対策のひとつです。

サラリーマンができる税金対策はそう多くありませんが、サラリーマンでもできる税金対策のひとつに個人型確定拠出年金(以下、「iDeCo」)があります。
老後2000万円問題と言われていますが、年金だけで豊かな老後生活を行うことは難しく、個人で老後資金を確保する必要があります。
iDeCoは、確定拠出年金法に基づいて実施されている私的年金の制度であり、自分が拠出した掛金を、自分で運用し、資産を形成する年金制度です。
掛金は65歳になるまで拠出可能であり、60歳以降に老齢給付金を受け取ることができ、老後資金の不足をカバーする制度であるため、税制面の優遇措置が設けられています。
税務上は、非常にメリットがある制度ですが、少し分かりずらい制度であるため、これからiDeCo(個人型確定拠出年金)を始めたい人向けにメリット・デメリットについて解説を行います。

iDeCoのメリットは?

上記の通り、iDeCoのメリットは税制面の優遇措置ですが、具体的には次の通りです。

1.掛金の拠出時

iDeCoは、原則として毎月掛け金を拠出して、自分で運用する制度です。
毎月掛金が所得控除(小規模企業共済等掛金控除)となり税額の減税効果があります。
例えば、年収600万円のサラリーマンの場合、所得税と住民税の税率は20%(課税所得を300万円と仮定した場合)であるため、年間27.6万円(企業型DCのない会社の会社員の最高額)を拠出した場合、年間で約5.5万円の減税効果があります。
また、この減税効果は効果は毎年発生しますので、例えば、20年間継続して行った場合には約110.4万円の減税効果となります。

年収年間掛金年間減税額20年減税額
300万円27.6万円4.1万円82.8万円
600万円27.6万円5.5万円110.4万円
1,000万円27.6万円8.2万円165.6万円
1,500万円27.6万円11.8万円237.3万円
iDeCo公式サイト簡単税制優遇シミュレーション:https://www.ideco-koushiki.jp/simulation/

2.掛金運用時

個人で株式等の金融商品に投資した場合、運用益に対して20.315%の税金が発生しますが、iDeCoの場合には運用益には課税されません(非課税)となります。

3.受取時(出口

60歳以降は、年金または一時金として受け取ることができます(これらを併用することもできます)。
例えば年金として受ける場合には、公的年金と同じ扱いとなりますので、年金の受取金額から公的年金等控除額(65歳以上の場合、公的年金等の控除額は最低110万円認められます。)や基礎控除等を差し引いた金額に課税されます。
一般に高齢世代は、現役世代よりも所得が減っていると考えられますので、課税されたとして現役世代よりも低い税率となるため、税率差がメリットとなります。
一時金として受け取る場合、退職所得としての課税関係になります。
退職所得では掛金をかけている加入者としての期間について、1年あたり40万円(加入期間が20年超の部分は70万円)の控除が認められ、更にその2分の1課税所得となる優遇措置があります。
仮に一時金の受取額が退職所得控除を下回る場合には、受取時(出口)では課税されないことになります。

なお、優遇措置とは直接関係がありませんが、iDeCoは差押禁止財産に該当します。したがって、万が一破産してしまったとしても守られます(預金の場合には差し押さえの対象となります。)。

iDeCoのデメリットは?

上記の通り、iDeCoは税制面で非常に優遇されていますが、次のようなデメリットが考えられます。

1.掛金拠出時

上記の通り、iDeCoは所得控除(小規模企業共済等掛金控除)による優遇措置であるため、所得がない場合のは税額軽減のメリットはありませんが、例えば、育児等で所得が発生しない期間がある場合には、掛金を減額するなどでデメリットを回避することが可能です。
なお、小規模企業共済等掛金控除は、社会保険料控除のように、自己または自己と生計を一にする配偶者やその他の親族の負担すべき掛金を代わりに負担したとしても、掛金を負担した者での控除は認められていません。

2.掛金運用時

iDeCoでは、資産運用を行うことを前提としているため、運用損が生じるリスクがあり、この運用損については、iDeCo以外の運用益とは損益通算を行うことができません。
また、iDeCoでは専用口座を開設する必要があり、国民年金基金に対する加入者手数料や信託銀行の資産管理手数料が発生します。加えて金融機関によっては、運営管理手数料が発生します。
なお、資産運用については、運用損が生じない元本確保商品(定期預金や保険商品)がありますが、ほとんど利息が期待できないため、手数料負けすることになります(年単位拠出に変更することで手数料負担を抑えることができます。)。

3.受取時(出口)

iDeCoは、原則として60歳になるまで引き出すことができません。強制的に積み立てるという点ではデメリットではないという考え方もできます。

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