相続対策

【税理士が解説】新旧対照表で確認する令和5年度の税制改正(相続税法:相続・贈与編)

令和5年度の税制改正では、「資産移転の時期の選択による中立的な税制の構築」として、「相続時精算課税制度の使い勝手向上」、「暦年課税における相続前贈与の加算」、「贈与税の非課税措置」についての改正が行われる予定です。
実際にどのような改正であるかについては、税制改正大綱で示されていましたが、改正案が公表されましたので、その詳細につい新旧対照表で確認をしたいと思います。

改正後 改正前
(相続開始前七年以内に贈与があつた場合の相続税額)
第十九条 相続又は遺贈により財産を取得した者が当該相続の開始前七年以内に当該相続に係る被相続人から贈与により財産を取得したことがある場合においては、その者については、当該贈与により取得した財産(第二十一条の二第一項から第三項まで、第二十一条の三及び第二十一条の四の規定により当該取得の日の属する年分の贈与税の課税価格計算の基礎に算入されるもの(特定贈与財産を除く。)に限る。以下この条及び第五十一条第二項において同じ。)(以下この項において「加算対象贈与財産」という。)の価額(加算対象贈与財産のうち当該相続の開始前三年以内に取得した財産以外の財産にあつては、当該財産の価額の合計額から百万円を控除した残額)を相続税の課税価格に加算した価額を相続税の課税価格とみなし、第十五条から前条までの規定を適用して算出した金額(加算対象贈与財産の取得につき課せられた贈与税があるときは、当該金額から当該財産に係る贈与税の税額(第二十一条の八の規定による控除前の税額とし、延滞税、利子税、過少申告加算税、無申告加算税及び重加算税に相当する税額を除く。)として政令の定めるところにより計算した金額を控除した金額)をもつて、その納付すべき相続税額とする。
(相続開始前三年以内に贈与があつた場合の相続税額)
第十九条 相続又は遺贈により財産を取得した者が当該相続の開始前三年以内に当該相続に係る被相続人から贈与により財産を取得したことがある場合においては、その者については、当該贈与により取得した財産(第二十一条の二第一項から第三項まで、第二十一条の三及び第二十一条の四の規定により当該取得の日の属する年分の贈与税の課税価格計算の基礎に算入されるもの(特定贈与財産を除く。)に限る。以下この条及び第五十一条第二項において同じ。)の価額を相続税の課税価格に加算した価額を相続税の課税価格とみなし、第十五条から前条までの規定を適用して算出した金額(当該贈与により取得した財産の取得につき課せられた贈与税があるときは、当該金額から当該財産に係る贈与税の税額(第二十一条の八の規定による控除前の税額とし、延滞税、利子税、過少申告加算税、無申告加算税及び重加算税に相当する税額を除く。)として政令の定めるところにより計算した金額を控除した金額)をもつて、その納付すべき相続税額とする。




2 前項に規定する特定贈与財産とは、第二十一条の六第一項に規定する婚姻期間が二十年以上である配偶者に該当する被相続人からの贈与により当該被相続人の配偶者が取得した同項に規定する居住用不動産又は金銭で次の各号に掲げる場合に該当するもののうち、当該各号に掲げる場合の区分に応じ、当該各号に定める部分をいう。
一 当該贈与が当該相続の開始の年の前年以前にされた場合で、当該被相続人の配偶者が当該贈与による取得の日の属する年分の贈与税につき第二十一条の六第一項の規定の適用を受けているとき  同項の規定により控除された金額に相当する部分
二 当該贈与が当該相続の開始の年においてされた場合で、当該被相続人の配偶者が当該被相続人からの贈与について既に第二十一条の六第一項の規定の適用を受けた者でないとき(政令で定める場合に限る。) 同項の規定の適用があるものとした場合に、同項の規定により控除されることとなる金額に相当する部分
2 前項に規定する特定贈与財産とは、第二十一条の六第一項に規定する婚姻期間が二十年以上である配偶者に該当する被相続人からの贈与により当該被相続人の配偶者が取得した同項に規定する居住用不動産又は金銭で次の各号に掲げる場合に該当するもののうち、当該各号に掲げる場合の区分に応じ、当該各号に定める部分をいう。
一 当該贈与が当該相続の開始の年の前年以前にされた場合で、当該被相続人の配偶者が当該贈与による取得の日の属する年分の贈与税につき第二十一条の六第一項の規定の適用を受けているとき。 同項の規定により控除された金額に相当する部分
二 当該贈与が当該相続の開始の年においてされた場合で、当該被相続人の配偶者が当該被相続人からの贈与について既に第二十一条の六第一項の規定の適用を受けた者でないとき(政令で定める場合に限る。)。 同項の規定の適用があるものとした場合に、同項の規定により控除されることとなる金額に相当する部分
  1. いわゆる生前贈与加算の持戻し期間が3年から7年に延長されましたが、延長された期間(4年目から7年目まで)の贈与財産の価額の全てが加算される訳ではなく、その期間の贈与財産の価額の合計額から100万円を控除した金額が加算されます。
  2. 改正附則第十九条により、令和六年一月一日以後の贈与から7年となるため、実質的に令和九年一月一日以後の贈与から段階的に持戻し期間が加算され、令和十三年一月一日以後に贈与から7年となります。
  3. 贈与により取得した財産は、「第二十一条の二第一項から第三項まで、第二十一条の三及び第二十一条の四の規定により当該取得の日の属する年分の贈与税の課税価格計算の基礎に算入されるもの(特定贈与財産を除く。)に限る。」とされていますので、いわゆる暦年課税の対象となる財産(このうち、贈与税の非課税財産や婚姻関係20年以上の夫婦の居住用不動産等を除く。)に限られ、相続時精算課税の対象となる財産は本規定による持戻しの対象外となります(相続時精算課税については、下記の記載をご確認下さい)。
  4. 持戻しの対象者は、「相続又は遺贈により財産を取得した者」であり、この点の改正は行われていませんので、相続等により財産を取得していない孫などに対する贈与については、従前どおり加算対象ではありません。
(相続時精算課税に係る贈与税の基礎控除)
第二十一条の十一の二 相続時精算課税適用者がその年中において特定贈与者からの贈与により取得した財産に係るその年分の贈与税については、贈与税の課税価格から六十万円を控除する。
(新設)
2 前項の相続時精算課税適用者に係る特定贈与者が二人以上ある場合における各特定贈与者から贈与により取得した財産に係る課税価格から控除する金額の計算については、政令で定める。 (新設)
  1. 相続時精算課税について、暦年贈与と同じく基礎控除が設けられました。このため、少額の相続時精算課税の贈与についても贈与税の申告が不要となります(改正後相続税法第二十八条)。
  2. 相続税法の基礎控除は六十万円ですが、租税特別措置法条第七十条の三の二(相続時精算課税に係る贈与税の基礎控除の特例)により百十万円とされます。
  3. 相続時精算課税の基礎控除と暦年贈与の基礎控除は別枠となりますが、複数の特定贈与者から贈与を受ける場合には、合計で百十万円となります。
(相続時精算課税に係る贈与税の特別控除)
第二十一条の十二 相続時精算課税適用者がその年中において特定贈与者からの贈与により取得した財産に係るその年分の贈与税については、特定贈与者ごとの前条第一項の規定による控除後の贈与税の課税価格からそれぞれ次に掲げる金額のうちいずれか低い金額を控除する。
一 省 略
二 特定贈与者ごとの前条第一項の規定による控除後の贈与税の課税価格
(相続時精算課税に係る贈与税の特別控除)
第二十一条の十二 相続時精算課税適用者がその年中において特定贈与者からの贈与により取得した財産に係るその年分の贈与税については、特定贈与者ごとの贈与税の課税価格からそれぞれ次に掲げる金額のうちいずれか低い金額を控除する。

一 同 左
二 特定贈与者ごとの贈与税の課税価格

2・3 省 略 2・3 同 左
  1. 相続時精算課税に係る二千五百万円の特別控除は、基礎控除控除後の贈与税の課税価格に適用されます。
(相続時精算課税に係る贈与税の税率)
第二十一条の十三 相続時精算課税適用者がその年中において特定贈与者からの贈与により取得した財産に係るその年分の贈与税の額は、特定贈与者ごとに、第二十一条の十一の二第一項の規定による控除後の贈与税の課税価格(前条第一項の規定の適用がある場合には、同項の規定による控除後の金額)にそれぞれ百分の二十の税率を乗じて計算した金額とする。
(相続時精算課税に係る贈与税の税率)
第二十一条の十三 相続時精算課税適用者がその年中において特定贈与者からの贈与により取得した財産に係るその年分の贈与税の額は、特定贈与者ごとに、第二十一条の十の規定により計算された贈与税の課税価格(前条第一項の規定の適用がある場合には、同項の規定による控除後の金額)にそれぞれ百分の二十の税率を乗じて計算した金額とする。

  1. 相続時精算課税の贈与税の課税価格は、基礎控除後であることが明確化されています。
第二十一条の十五 特定贈与者から相続又は遺贈により財産を取得した相続時精算課税適用者については、当該特定贈与者からの贈与により取得した財産で第二十一条の九第三項の規定の適用を受けるもの(第二十一条の二第一項から第三項まで、第二十一条の三、第二十一条の四及び第二十一条の十の規定により当該取得の日の属する年分の贈与税の課税価格計算の基礎に算入されるものに限る。)の価額から第二十一条の十一の二第一項の規定による控除をした残額を相続税の課税価格に加算した価額をもつて、相続税の課税価格とする。 第二十一条の十五 特定贈与者から相続又は遺贈により財産を取得した相続時精算課税適用者については、当該特定贈与者からの贈与により取得した財産で第二十一条の九第三項の規定の適用を受けるもの(第二十一条の二第一項から第三項まで、第二十一条の三、第二十一条の四及び第二十一条の十の規定により当該取得の日の属する年分の贈与税の課税価格計算の基礎に算入されるものに限る。)の価額を相続税の課税価格に加算した価額をもつて、相続税の課税価格とする。

2 特定贈与者から相続又は遺贈により財産を取得した相続時精算課税適用者及び他の者に係る相続税の計算についての第十三条、第十八条、第十九条、第十九条の三及び第二十条の規定の適用については、第十三条第一項中「取得した財産」とあるのは「取得した財産及び被相続人が第二十一条の九第五項に規定する特定贈与者である場合の当該被相続人からの贈与により取得した同条第三項の規定の適用を受ける財産」と、「当該財産」とあるのは「第二十一条の十一の二第一項の規定による控除後のこれらの財産」と、同条第二項中「あるもの」とあるのは「あるもの及び被相続人が第二十一条の九第五項に規定する特定贈与者である場合の当該被相続人からの贈与により取得した同条第三項の規定の適用を受ける財産」と、「当該財産」とあるのは「第二十一条の十一の二第一項の規定による控除後のこれらの財産」と、同条第四項中「取得した財産」とあるのは「取得した財産及び被相続人が第二十一条の九第五項に規定する特定贈与者である場合の当該被相続人からの贈与により取得した同条第三項の規定の適用を受ける財産」と、「当該財産」とあるのは
「第二十一条の十一の二第一項の規定による控除後のこれらの財産」と、第十八条第一項中「とする」とあるのは「とする。ただし、贈与により財産を取得した時において当該被相続人の当該一親等の血族であつた場合には、当該被相続人から取得した当該財産に対応する相続税額として政令で定めるものについては、この限りでない」と、第十九条第一項中「特定贈与財産」とあるのは「特定贈与財産及び第二十一条の九第三項の規定の適用を受ける財産」と、第十九条の三第三項中「財産」とあるのは「財産(当該相続に係る被相続人からの贈与により取得した財産で第二十一条の九第三項の規定の適用を受けるものを含む。)」と、第二十条第一号中「事由により取得した財産」とあるのは「事由により取得した財産(当該被相続人からの贈与により取得した財産で第二十一条の九第三項の規定の適用を受けるものを含む。)」と、同条第二号中「財産の価額」とあるのは「財産(当該被相続人からの贈与により取得した財産で第二十一条の九第三項の規定の適用を受けるものを含む。)の価額」とする。
2 特定贈与者から相続又は遺贈により財産を取得した相続時精算課税適用者及び他の者に係る相続税の計算についての第十三条、第十八条、第十九条、第十九条の三及び第二十条の規定の適用については、第十三条第一項中「取得した財産」とあるのは「取得した財産及び被相続人が第二十一条の九第五項に規定する特定贈与者である場合の当該被相続人からの贈与により取得した同条第三項の規定の適用を受ける財産」と、同条第二項中「あるもの」とあるのは「あるもの及び被相続人が第二十一条の九第五項に規定する特定贈与者である場合の当該被相続人からの贈与により取得した同条第三項の規定の適用を受ける財産」と、同条第四項中「取得した財産」とあるのは「取得した財産及び被相続人が第二十一条の九第五項に規定する特定贈与者である場合の当該被相続人からの贈与により取得した同条第三項の規定の適用を受ける財産」と、第十八条第一項中「とする」とあるのは「とする。ただし、贈与により財産を取得した時において当該被相続人の当該一親等の血族であつた場合には、当該被相続人から取得した当該財産に対応する相続税額として政令で定めるものについては、この限りでない」と、第十九条第一項中「特定贈与財産」とあるのは「特定贈与財産及び第二十一条の九第三項の規定の適用を受ける財産」と、第十九条の三第三項中「財産」とあるのは「財産(当該相続に係る被相続人からの贈与により取得した財産で第二十一条の九第三項の規定の適用を受けるものを含む。)」と、第二十条第一号中「事由により取得した財産」とあるのは「事由により取得した財産(当該被相続人からの贈与により取得した財産で第二十一条の九第三項の規定の適用を受けるものを含む。)」と、同条第二号中「財産の価額」とあるのは「財産(当該被相続人からの贈与により取得した財産で第二十一条の九第三項の規定の適用を受けるものを含む。)の価額」とする。





3 省 略 3 同 左
  1. 相続時精算課税適用者の相続財産に加算される金額は、第二十一条の十一の二第一項の規定(相続時精算課税に係る贈与税の基礎控除)による控除をした残額とされましたので、基礎控除分は相続税の課税価格に算入されず、また、暦年贈与と異なり7年以内の持戻しもありません。
  2. 従前は、相続時精算課税制度に基礎控除はありませんでしたので、基礎控除額以下での贈与の場合には暦年贈与が有利となっていましたが、改正により暦年贈与は持戻しの期間が延長されたため、相続時精算課税制度の方が有利となりました。
第二十一条の十六 省 略 第二十一条の十六 同 左
2 前項の場合において、特定贈与者から相続又は遺贈により財産を取得しなかつた相続時精算課税適用者及び当該特定贈与者から相続又は遺贈により財産を取得した者に係る相続税の計算についての第十三条、第十八条、第十九条、第十九条の三及び第十九条の四の規定の適用については、第十三条第一項中「取得した財産」とあるのは「取得した財産(当該相続に係る被相続人からの贈与により取得した財産で第二十一条の九第三項の規定の適用を受けるものを含む。第四項において同じ。)」と、「当該財産」とあるのは「第二十一条の十一の二第一項の規定による控除後の当該財産」と、同条第二項中「あるもの」とあるのは「あるもの及び被相続人が第二十一条の九第五項に規定する特定贈与者である場合の当該被相続人からの贈与により取得した同条第三項の規定の適用を受ける財産」と、「当該財産」とあるのは「第二十一条の十一の二第一項の規定による控除後のこれらの財産」と、同条第四項中「当該財産」とあるのは「第二十一条の十一の二第一項の規定による控除後の当該財産」と、第十八条第一項中「とする」とあるのは「とする。ただし、贈与により財産を取得した時において当該被相続人の当該一親等の血族であつた場合には、当該被相続人から取得した当該財産に対応する相続税額として政令で定めるものについては、この限りでない」と、第十九条第一項中「特定贈与財産」とあるのは「特定贈与財産及び第二十一条の九第三項の規定の適用を受ける財産」と、第十九条の三第三項中「財産」とあるのは「財産(当該相続に係る被相続人からの贈与により取得した財産で第二十一条の九第三項の規定の適用を受けるものを含む。)」 と、第十九条の四第一項中「該当する者」とあるのは「該当する者及び 同項第五号の規定に該当する者(当該相続に係る被相続人の相続開始の 時においてこの法律の施行地に住所を有しない者に限る。)」とする。 2 前項の場合において、特定贈与者から相続又は遺贈により財産を取得しなかつた相続時精算課税適用者及び当該特定贈与者から相続又は遺贈により財産を取得した者に係る相続税の計算についての第十八条、第十九条、第十九条の三及び第十九条の四の規定の適用については、第十八条第一項中「とする」とあるのは「とする。ただし、贈与により財産を取得した時において当該被相続人の当該一親等の血族であつた場合には、当該被相続人から取得した当該財産に対応する相続税額として政令で定めるものについては、この限りでない」と、第十九条第一項中「特定贈与財産」とあるのは「特定贈与財産及び第二十一条の九第三項の規定の適用を受ける財産」と、第十九条の三第三項中「財産」とあるのは「財産(当該相続に係る被相続人からの贈与により取得した財産で第二十一条の九第三項の規定の適用を受けるものを含む。)」と、第十九条の四第一項中「該当する者」とあるのは「該当する者及び同項第五号の規定に該当する者(当該相続に係る被相続人の相続開始の時においてこの法律の施行地に住所を有しない者に限る。)」とする。













3 第一項の規定により特定贈与者から相続又は遺贈により取得したものとみなされた財産に係る第一節の規定の適用については、次に定めるところによる。
一 当該財産の価額は、第一項の贈与の時における価額とする。
二 当該財産の価額から第二十一条の十一の二第一項の規定による控除をした残額を第十一条の二の相続税の課税価格に算入する。
3 第一項の規定により特定贈与者から相続又は遺贈により取得したものとみなされて相続税の課税価格に算入される財産の価額は、同項の贈与の時における価額による。





4 省 略 4 同 左
  1. 相続時精算課税に係る基礎控除についての改正です。
(贈与税の申告書)
第二十八条 贈与により財産を取得した者は、その年分の贈与税の課税価格に係る第二十一条の五、第二十一条の七及び第二十一条の八の規定による贈与税額がある場合、又は当該財産が第二十一条の九第三項の規定の適用を受けるものである場合(第二十一条の十一の二第一項の規定による控除後の贈与税の課税価格がある場合に限る。)には、その年の翌年二月一日から三月十五日まで(同年一月一日から三月十五日までに国税通則法第百十七条第二項(納税管理人)の規定による納税管理人の届出をしないでこの法律の施行地に住所及び居所を有しないこととなる場合には、当該住所及び居所を有しないこととなる日まで)に、課税価格、贈与税額その他財務省令で定める事項を記載した申告書を納税地の所轄税務署長に提出しなければならない。
(贈与税の申告書)
第二十八条 贈与により財産を取得した者は、その年分の贈与税の課税価格に係る第二十一条の五、第二十一条の七及び第二十一条の八の規定による贈与税額があるとき、又は当該財産が第二十一条の九第三項の規定の適用を受けるものであるときは、その年の翌年二月一日から三月十五日まで(同年一月一日から三月十五日までに国税通則法第百十七条第二項(納税管理人)の規定による納税管理人の届出をしないでこの法律の施行地に住所及び居所を有しないこととなるときは、当該住所及び居所を有しないこととなる日まで)に、課税価格、贈与税額その他財務省令で定める事項を記載した申告書を納税地の所轄税務署長に提出しなければならない。

2 前条第二項の規定は、次に掲げる場合について準用する。
一 省 略
二 相続時精算課税適用者が年の中途において死亡した場合において、その年一月一日から死亡の日までに第二十一条の九第三項の規定の適用を受ける財産を贈与により取得したとき(第二十一条の十一の二第一項の規定による控除後の贈与税の課税価格がある場合に限る。)。
三 省 略
2 同 左

一 同 左
二 相続時精算課税適用者が年の中途において死亡した場合において、その年一月一日から死亡の日までに第二十一条の九第三項の規定の適用を受ける財産を贈与により取得したとき。

三 同 左
3・4 省 略 3・4 同 左
  1. 相続時精算課税適用者は、贈与税の課税価格が基礎控除以下である場合には、贈与税の申告が不要となります。
(更正及び決定の特則)
第三十五条 省 略 
(更正及び決定の特則)
第三十五条 同 左
2~4 省 略 2~4 同 左
5 税務署長は、第二十一条の二第四項の規定の適用を受けていた者が、第三十二条第一項第一号から第六号までに規定する事由が生じたことにより相続又は遺贈による財産の取得をしないこととなつたため新たに第
二十八条第一項に規定する申告書を提出すべき要件に該当することとなつた場合又は既に確定した贈与税額に不足を生じた場合には、その者に係る贈与税の課税価格又は贈与税額の更正又は決定をする。ただし、これらの事由が生じた日から一年を経過した日と第三十七条の規定により更正又は決定をすることができないこととなる日とのいずれか遅い日以後においては、この限りでない。
5 税務署長は、第二十一条の二第四項の規定の適用を受けていた者が、第三十二条第一項第一号から第六号までに規定する事由が生じたことにより相続又は遺贈による財産の取得をしないこととなつたため新たに第
二十八条第一項に規定する申告書を提出すべき要件に該当することとなつた場合又は既に確定した贈与税額に不足を生じた場合には、その者に係る贈与税の課税価格又は贈与税額の更正又は決定をする。ただし、これらの事由が生じた日から一年を経過した日と次条の規定により更正又は決定をすることができないこととなる日とのいずれか遅い日以後においては、この限りでない。
  1. 条文番号変更による改正です。
(相続税についての更正、決定等の期間制限の特則)
第三十六条 国税通則法第七十条第一項(国税の更正、決定等の期間制限)の規定により更正をすることができないこととなる日前六月以内に相続税について同法第二十三条第一項(更正の請求)の規定による更正の請求がされた場合において、当該請求に係る更正に伴い当該請求をした者の被相続人から相続又は遺贈により財産を取得した他の者(当該被相続人から第二十一条の九第三項の規定の適用を受ける財産を贈与により取得した者を含む。以下この条において同じ。)に係る相続税の課税価格又は相続税額に異動を生ずるとき(当該請求が当該他の者について同法第七十条第一項の規定により同法第五十八条第一項第一号イ(還付加算金)に規定する更正決定等をすることができないこととなる日前六月以内にされた場合に限る。)は、当該相続税に係る更正若しくは決定又は当該更正若しくは決定若しくは期限後申告書若しくは修正申告書の提出に伴い当該相続税に係る同法第六十九条(加算税の税目)に規定する加算税についてする賦課決定(同法第三十二条第五項(賦課決定)に規定する賦課決定をいう。)は、同法第七十条第一項の規定にかかわらず、当該請求があつた日から六月を経過する日まで、することができる。この場合において、同法第七十一条第一項(国税の更正、決定等の期間制限の特例)及び第七十二条(国税の徴収権の消滅時効)の規定の適用については、同項中「日が前条」とあるのは「日が前条及び相続税法第三十六条(相続税についての更正、決定等の期間制限の特則)」と、「同条」とあるのは「前条及び同法第三十六条」と、同条第一項中「あつた日」とあるのは「あつた日とし、相続税法第三十六条(相続税についての更正、決定等の期間制限の特則)の規定による更正決定等又は同条の期限後申告書若しくは修正申告書の提出により納付すべき相続税については、当該更正決定等又は当該提出があつた日」とする。
(新設)
  1. 国税の更正・決定等の期間制限の間際(六月以内)に更正の請求があった場合、当該更正に係る他の相続人等の相続税額に異動が生じる場合には、当該他の相続人等の更正・決定等の期間を当該更正の請求があった日から6月を経過する日までとすることができるものとするものです。
(贈与税についての更正、決定等の期間制限の特則)
第三十七条 税務署長は、贈与税について、国税通則法第七十条(国税の更正、決定等の期間制限)の規定にかかわらず、次の各号に掲げる更正若しくは決定(以下この項及び第四項において「更正決定」という。)又は賦課決定(同法第三十二条第五項(賦課決定)に規定する賦課決定をいう。以下この条において同じ。)を当該各号に定める期限又は日から六年を経過する日まで、することができる。この場合において、同法第七十一条第一項(国税の更正、決定等の期間制限の特例)の規定の適用については、同項中「日が前条」とあるのは「日が前条及び相続税法第三十七条第一項から第四項まで(贈与税についての更正、決定等の期間制限の特則)」と、「同条」とあるのは「前条及び同法第三十七条第一項から第四項まで」とする。
一~三 省 略
(贈与税についての更正、決定等の期間制限の特則)
第三十六条 税務署長は、贈与税について、国税通則法第七十条(国税の更正、決定等の期間制限)の規定にかかわらず、次の各号に掲げる更正若しくは決定(以下この項及び第四項において「更正決定」という。)又は賦課決定(同法第三十二条第五項(賦課決定)に規定する賦課決定をいう。以下この条において同じ。)を当該各号に定める期限又は日から六年を経過する日まで、することができる。この場合において、同法第七十一条第一項(国税の更正、決定等の期間制限の特例)の規定の適用については、同項中「日が前条」とあるのは「日が前条及び相続税法第三十六条第一項から第四項まで(贈与税についての更正、決定等の期間制限の特則)」と、「同条」とあるのは「前条及び同法第三十六条第一項から第四項まで」とする。
一~三 同 左
2 前項の規定により更正をすることができないこととなる日前六月以内にされた国税通則法第二十三条第一項(更正の請求)の規定による更正の請求に係る更正又は当該更正に伴い贈与税に係る加算税についてする賦課決定は、前項の規定にかかわらず、当該更正の請求があつた日から六月を経過する日まで、することができる。この場合において、同法第七十二条第一項(国税の徴収権の消滅時効)の規定の適用については、同項中「第七十条第三項(国税の更正、決定等の期間制限)」とあるのは「相続税法第三十七条第二項(贈与税についての更正、決定等の期間制限の特則)」と、「、第七十条第三項」とあるのは「、同法第三十七条第二項」とする。 2 前項の規定により更正をすることができないこととなる日前六月以内にされた国税通則法第二十三条第一項(更正の請求)の規定による更正の請求に係る更正又は当該更正に伴い贈与税に係る加算税についてする賦課決定は、前項の規定にかかわらず、当該更正の請求があつた日から六月を経過する日まで、することができる。この場合において、同法第七十二条第一項(国税の徴収権の消滅時効)の規定の適用については、同項中「第七十条第三項(国税の更正、決定等の期間制限)」とあるのは「相続税法第三十六条第二項(贈与税についての更正、決定等の期間制限の特則)」と、「、第七十条第三項」とあるのは「、同法第三十六条第二項」とする。
3 第一項の規定により賦課決定をすることができないこととなる日前三月以内にされた国税通則法第二条第六号(定義)に規定する納税申告書の提出に伴い贈与税に係る無申告加算税(同法第六十六条第八項(無申告加算税)の規定の適用があるものに限る。)についてする賦課決定は
、第一項の規定にかかわらず、当該納税申告書の提出があつた日から三月を経過する日まで、することができる。この場合において、同法第七十二条第一項の規定の適用については、同項中「同条第四項」とあり、及び「第七十条第四項」とあるのは、「相続税法第三十七条第三項(贈与税についての更正、決定等の期間制限の特則)」とする。
3 第一項の規定により賦課決定をすることができないこととなる日前三月以内にされた国税通則法第二条第六号(定義)に規定する納税申告書の提出に伴い贈与税に係る無申告加算税(同法第六十六条第七項(無申告加算税)の規定の適用があるものに限る。)についてする賦課決定は
、第一項の規定にかかわらず、当該納税申告書の提出があつた日から三月を経過する日まで、することができる。この場合において、同法第七十二条第一項の規定の適用については、同項中「同条第四項」とあり、及び「第七十条第四項」とあるのは、「相続税法第三十六条第三項(贈与税についての更正、決定等の期間制限の特則)」とする。
4~6 省 略 4~6 同 左
  1. 条文番号変更による改正です。
  第三十七条 削除

(相続時精算課税等に係る贈与税の申告内容の開示等)
第四十九条 相続又は遺贈(当該相続に係る被相続人からの贈与により取得した財産で第二十一条の九第三項の規定の適用を受けるものに係る贈与を含む。)により財産を取得した者は、当該相続又は遺贈により財産を取得した他の者(以下この項において「他の共同相続人等」という。)がある場合には、当該被相続人に係る相続税の期限内申告書、期限後申告書若しくは修正申告書の提出又は国税通則法第二十三条第一項(更正の請求)の規定による更正の請求に必要となるときに限り、次に掲げる金額(他の共同相続人等が二人以上ある場合にあつては、全ての他の共同相続人等の当該金額の合計額)について、政令で定めるところにより、当該相続に係る被相続人の死亡の時における住所地その他の政令で定める場所の所轄税務署長に開示の請求をすることができる。









一  他の共同相続人等が当該被相続人から贈与により取得した次に掲げる加算対象贈与財産(第十九条第一項に規定する加算対象贈与財産をいう。以下この号において同じ。)の区分に応じそれぞれ次に定める贈与税の課税価格に係る金額の合計額
イ  相続の開始前三年以内に取得した加算対象贈与財産 贈与税の申告書に記載された贈与税の課税価格の合計額
ロ イに掲げる加算対象贈与財産以外の加算対象贈与財産 贈与税の申告書に記載された贈与税の課税価格の合計額から百万円を控除した残額
二 他の共同相続人等が当該被相続人から贈与により取得した第二十一条の九第三項の規定の適用を受けた財産に係る贈与税の申告書に記載された第二十一条の十一の二第一項の規定による控除後の贈与税の課税価格の合計額
(相続時精算課税等に係る贈与税の申告内容の開示等)
第四十九条 相続又は遺贈(当該相続に係る被相続人からの贈与により取得した財産で第二十一条の九第三項の規定の適用を受けるものに係る贈与を含む。)により財産を取得した者は、当該相続又は遺贈により財産を取得した他の者(以下この項において「他の共同相続人等」という。)がある場合には、当該被相続人に係る相続税の期限内申告書、期限後申告書若しくは修正申告書の提出又は国税通則法第二十三条第一項(更正の請求)の規定による更正の請求に必要となるときに限り、他の共同相続人等が当該被相続人から当該相続の開始前三年以内に取得した財産又は他の共同相続人等が当該被相続人から取得した第二十一条の九第三項の規定の適用を受けた財産に係る贈与税の申告書に記載された贈与税の課税価格(当該贈与税について修正申告書の提出又は更正若しくは決定があつた場合には、当該修正申告書に記載された課税価格又は当該更正若しくは決定後の贈与税の課税価格)の合計額について、政令で定めるところにより、当該相続に係る被相続人の死亡の時における住所地その他の政令で定める場所の所轄税務署長に開示の請求をすることができる。


















2 前項各号の贈与税について修正申告書の提出又は更正若しくは決定があつた場合には、同項各号の贈与税の課税価格は、当該修正申告書に記載された贈与税の課税価格又は当該更正若しくは決定後の贈与税の課税価格とする。 (新設)
3 第一項の請求があつた場合には、税務署長は、当該請求をした者に対し、当該請求後二月以内に同項の開示をしなければならない。 2 前項の請求があつた場合には、税務署長は、当該請求をした者に対し、当該請求後二月以内に同項の開示をしなければならない。
  1. 暦年課税、相続時精算課税制度の改正に伴う相続時精算課税等に係る贈与税の申告内容の開示等の改正されました。
(調書の提出)
第五十九条 省 略
(調書の提出)
第五十九条 同 左 
2~5 省 略 2~5 同 左
6 調書を提出すべき者(前項の規定に該当する者を除く。)は、その者が提出すべき調書の記載事項を記録した光ディスク等の提出をもつて当該調書の提出に代えることができる。






6 調書を提出すべき者(前項の規定に該当する者を除く。)は、政令で定めるところにより第一項から第三項までの規定に規定する所轄税務署長(次項において「所轄税務署長」という。)の承認を受けた場合又は これらの規定により提出すべき調書の提出期限の属する年以前の各年の いずれかの年において前項の規定に基づき記載事項を記録した光ディス ク等を提出した場合には、その者が提出すべき調書の記載事項を記録し た光ディスク等の提出をもつて当該調書の提出に代えることができる。
7 調書を提出すべき者が、政令で定めるところにより第一項から第三項までの規定に規定する所轄税務署長の承認を受けた場合には、その者は、これらの規定及び第五項の規定にかかわらず、同項各号に掲げる方法のいずれかの方法により、当該調書の記載事項を財務省令で定める税務署長に提供することができる。 7 調書を提出すべき者が、政令で定めるところにより所轄税務署長の承認を受けた場合には、その者は、第一項から第三項までの規定及び第五 項の規定にかかわらず、同項各号に掲げる方法のいずれかの方法により、当該調書の記載事項を財務省令で定める税務署長に提供することができる。

8 省 略 8 同 上
  1. 光ディスク等による提出について、所轄税務署長等の承認が不要となりました。
(特定の一般社団法人等に対する課税)
第六十六条の二 省 略
(特定の一般社団法人等に対する課税)
第六十六条の二 同 左
2~4 省 略 2~4 同 左
5 第一項の規定の適用がある場合において、同項の特定一般社団法人等 が被相続人に係る相続の開始前七年以内に当該被相続人から贈与により 取得した財産の価額については、第十九条第一項の規定は、適用しない。 5 第一項の規定の適用がある場合において、同項の特定一般社団法人等 が被相続人に係る相続の開始前三年以内に当該被相続人から贈与により 取得した財産の価額については、第十九条第一項の規定は、適用しない。
6 省 略 6 同 左
  1. 暦年贈与の期間延長による改正で一般社団法人等についても同様に改正されます。
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