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【税理士が解説】相続開始後でも遅くない??。遺産分割で知っておきたい相続税の税金対策について

相続税は、生前に財産を減らす又は財産の評価額の引き下げが対策の王道ですが、相続税は相続開始時点の正味遺産に課税されるため、相続開始後にできる対策は限られます。 相続後にできる対策のひとつに遺産分割がありますので、遺産分割での税金対策について解説を行います。

第二次相続の対策

被相続人の配偶者が存命である場合、遺産の分割により第二次相続の税負担が異なります。 例えば、第一次相続だけで考えた場合には、配偶者の税額の軽減の適用(【税金対策】相続税の税率と計算方法について参照)があるため、配偶者がすべての相続することが最も有利な分割となります。 他方で配偶者に固有の財産がある場合、第二次相続において、配偶者固有の財産に第一次相続の財産が加算されるため、一定額を超えた段階で、不利な取り扱いとなります。 このように、遺産分割により第二次相続が不利となる可能性があります。

寄附による対策

相続により取得した財産を相続税の申告期限までに、国又は地方公共団体等に寄付した場合には、寄附した財産の価額は相続財産から除外される特例があります(租税特別措置法第70条 [国等に対して相続財産を贈与した場合等の相続税の非課税等] 以下、「措法70条の非課税」)。 この措法70条の非課税は、相続人の所得計算上も寄附金控除の対象となり、相続税と所得税・住民税を重複して控除できます(下記の「国等に対して相続財産を贈与し、相続税の非課税規定の適用を受けた場合」を参照。)。 また、地方公共団体等には、都道府県、市町村、特別区、地方公共団体の組合及び財産区(地方自治法第1条の3)が含まれていますので、ふるさと納税も対象となり、2000円を超える全額が所得税と住民税から控除されます(ただし、所得金額の40%、住民税額の20%が限度となります)。 したがって、相続財産からふるさと納税の限度内で寄付した場合、相続税が減少するとともに、寄付額から2,000円を控除した金額が所得税と住民税から控除されるため、実質的に相続税相当の対策効果が生じますが、相続人に所得がある場合に効果がある税金対策であることに留意する必要があります。

【国税庁:国等に対して相続財産を贈与し、相続税の非課税規定の適用を受けた場合】 https://www.nta.go.jp/law/shitsugi/shotoku/05/30.htm 【国税庁:〔措置法第70条第1項《国等に対して相続財産を贈与した場合の相続税の非課税等》関係〕】 https://www.nta.go.jp/law/tsutatsu/kobetsu/sozoku/sochiho/080708/70_1/01.htm

配偶者の税額の軽減を適用しない対策(数次相続の場合)

相続税法では、短期間の相続発生による二重課税を回避するために、第一次相続で支払った相続税を第二次相続で控除できる制度あります。この制度を「相次相続控除」といいます。 遺産分割協議が整わないうちに、相続人に相続が発生したことを「数次相続」と言いますが、実務上、相続開始後に配偶者が体調を崩され、相続税の申告期限前に数次相続となったケースを経験しています。 通常は、配偶者の税額の軽減を適用した方が有利なりますが、この「数次相続」に限り、第一次相続において配偶者の税額の軽減を適用しない方が、有利となる場合があります。 これは、第二次相続において相次相続控除により、第一相続の相続税が全額控除されますが、第一次相続の相続税は債務控除として、第二次相続の財産から控除されるためです。

税金対策の最新事例については、こちらを参照ください。

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