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【税理士が解説】空き家となった実家を相続した場合の特例?相続時に知っておきたい留意点について

更新日:6月12日

ご相続税の申告をお手伝いする中で、相続人が実家のご相続が問題となる場合があります。 相続人が実家にお住まいであれば相続しても何らの問題ありませんが、相続人が既に自宅を所有している場合や遠方である場合には、この実家をどうするかという問題が発生します。

本投稿では、実家を相続した際に知っておきたい税務ついて解説します。

自宅を所有する相続人が実家を相続した際の選択肢

実家を相続した場合、次の選択肢が考えられます。

  1. 相続人が住んでいる自宅を売却(賃貸)して、相続した実家に住む

  2. 相続した実家を賃貸する

  3. 相続した実家を売却する

このうち 1.相続した実家に住むという選択は、生活環境が変わるため、多くの方が選択しずらい選択肢になると思われます。 また、相続した実家を賃貸するにしても、実家が古い物件である場合には、賃貸に際して多額のリフォーム費用が発生し、賃貸すること自体が難しいという場合も多いと思われます。

以上の理由から、相続した実家を売却するという選択肢多いのではないでしょうか。

相続により取得した空き家を譲渡した場合の3,000万円の特別控除(相続空き家の特例)

相続した実家が昭和56年5月31日以前に建築された一軒家(以下、「旧耐震基準の実家」という。)である場合には、いわゆる空き家問題に対応するため、実家の売却益から最高3,000万円まで控除する特例(以下、「相続空き家の特例」という。)が認められています。

相続空き家の特例の留意点

相続空き家の特例を受けるためには、いくつかの要件があります。 この要件を欠いたため、適用を受けられなかったケースもありますので、その留意点について解説します

1.更地として売却または耐震補強を行ったうえで売却すること

旧耐震基準の実家については、①耐震工事を行うか、②更地にして売却することが要件とされています。 実務上は、家屋に価値がないこと多いと思われますが、 ※家屋付き(現状有姿)で売却した場合には本特例を受けることができません売却前に取り壊す必要がありませんが、売買契約に更地引渡しの要件を入れる必要があります(実務上、本要件を欠いていたため、適用を受けられなかったケースが数多くありますので必ず確認してください。)。

2.売却代金の合計額が1億円以下であること

売却代金の合計額が1億円を超えた場合、本特例を受けることができません(分割売却や他の相続人の売却分を含む。)。 この売却代金には固定資産税の清算金が含まれますので、売却代金が1億円とした場合でも、本要件を欠く可能性があります。 また、3,000万円の税効果は約600万円(=3,000万円×20.315%)ですので、1億600万円未満であれば、1億円未満で売却した方が税引後の手取額は多くなります。

3.家屋と土地の両方を相続すること

家屋のみや土地のみなどいずれか片方を相続した場合には、この適用を受けることができません(相続人が複数いる場合には留意してください。)。 また、相続後譲渡するまでに、相続人の居住の用や賃貸した場合にも、本特例を適用することができません。

4.相続の開始があった日から3年を経過する日の属する年の12月31日までに売却すること

取得費加算の要件である、相続税の申告期限の翌日以後3年を経過する日ではありません(取得費加算との併用はできません。)。

5.3,000万円の特別控除の判定単位

3,000万円の特別控除は、譲渡者ごとに適用します。 例えば、相続人が2名いる場合、土地と建物を共有で相続することで、最高6,000万円まで特別控除が認められます。

【国税庁:No.3306 被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例】 https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/joto/3306.htm

相続対策の最新事例については、こちらを参照ください。

本記事は、作成日時点の法令等に基づき、情報提供等を目的として当事務所の見解等を掲載したものです。
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