top of page

【税理士が解説】印紙税は過去のもの?電子契約の普及と税金対策の関係で知っておきたいこと

印紙税は、印紙税法で定められた文書(課税文書)を作成した場合に課税される税金です。 この課税文書の作成は、用紙等に課税事項を記載し、これを当該文書の目的に従って行使すること(印紙税法基本通達44条)が課税要件ですので、用紙等への記載を前提としない電子契約や電子データには印紙の貼付が必要ありません。

印紙税法で定める課税文書は次の通りです。このうち太字で記載した文書は、契約書の記載金額の多寡によって税額が異なる課税文書で、記載金額によっては多額の印紙税が発生します。 また、7号の継続的取引の基本となる契約書も、実務上多く目にする課税文書の形態ですので、これらの取引について電子契約とすることで、印紙税を削減できます。 しかしながら、複数回の取引が行われる事業者間であれば電子契約(例えば、電子記録債権や請負契約[*1])を導入することのメリットがありますが、対個人など単発の取引については(クラウド型電子署名サービスの普及によりハードルは下がっていますが)電子契約を締結することは難しい場合があります。 本投稿では、電子契約や電子データでなくともできる税金対策について解説します。

  1. ①不動産、鉱業権、無体財産権、船舶若しくは航空機又は営業の譲渡に関する契約書、②地上権又は土地の賃借権の設定又は譲渡に関する契約書、③消費貸借に関する契約書、④運送に関する契約書(傭船契約書を含む。

  2. 請負に関する契約書

  3. 約束手形又は為替手形

  4. 株券、出資証券若しくは社債券又は投資信託、貸付信託、特定目的信託若しくは受益証券発行信託の受益証券

  5. 合併契約書又は吸収分割契約書若しくは新設分割計画書

  6. 定款

  7. 継続的取引の基本となる契約書(契約期間の記載のあるもののうち、当該契約期間が三月以内であり、かつ、更新に関する定めのないものを除く。)

  8. 預貯金証書

  9. 倉荷証券、船荷証券又は複合運送証券

  10. 保険証券

  11. 信用状

  12. 信託行為に関する契約書

  13. 債務の保証に関する契約書(主たる債務の契約書に併記するものを除く。)

  14. 金銭又は有価証券の寄託に関する契約書

  15. 債権譲渡又は債務引受けに関する契約書

  16. 配当金領収証又は配当金振込通知書

  17. ①売上代金に係る金銭又は有価証券の受取書、②金銭又は有価証券の受取書で①に掲げる受取書以外のもの

  18. 預貯金通帳、信託行為に関する通帳、銀行若しくは無尽会社の作成する掛金通帳、生命保険会社の作成する保険料通帳又は生命共済の掛金通帳

  19. 第一号、第二号、第十四号又は第十七号に掲げる文書により証されるべき事項を付け込んで証明する目的をもつて作成する通帳(前号に掲げる通帳を除く。)

  20. 判取帳

[*1] 電子契約サービスに係る建設業法の取扱いについてのグレーゾーンの問題は解消しています。 https://www.meti.go.jp/press/2018/02/20190219003/20190219003.html

不動産売買契約書、金銭消費貸借契約書

印紙税は、契約の成立を証明する目的で作成された文書に対して課税されます。このため、各契約当事者が1通ずつ所持するために2通以上の文書が作成された場合であっても、その全部の文書がそれぞれ契約の成立を証明する目的で作成されていますので、すべて印紙税の課税対象となります。 なお、契約書の正本を複写機でコピーしただけのものについては、単なる写しにすぎないため課税対象とはなりませんので、例えば、親族間やグループ企業間の取引ついては、契約書を1通作成し、その写しを相手方に交付する契約形態とすることで、1通分の印紙税を節約できます。

金銭消費貸借契約書(コミットメントライン契約)

例えば、コミットメントライン契約では、借入の申込書などの書類をFAXや電子メールを利用することで印紙税の負担を軽減させることが可能です(契約の記載によっては、課税文書となる場合もあります)。詳細については、国税庁:コミットメントライン契約に関して作成する文書に対する印紙税の取扱いをご参照ください。

【国税庁:コミットメントライン契約に関して作成する文書に対する印紙税の取扱い】 https://www.nta.go.jp/law/joho-zeikaishaku/inshi/5111/01.htm

請負に関する契約書

契約とは、契約とは、申込みと承諾によって成立するものですから、契約の申込事実を記載した申込書、注文書、依頼書などは課税文書に該当しません。 したがって、契約書ではなく、発注者が受注者に発注書を送り、受注者が発注者に請書を送る方式とすることで、印紙税の課税文書は請書のみとなり、1通分の印紙税を節約できます。

【国税庁:申込書、注文書、依頼書等と表示された文書の取扱い】 https://www.nta.go.jp/law/shitsugi/inshi/02/04.htm

税金対策の最新事例については、こちらを参照ください。

本記事は、作成日時点の法令等に基づき、情報提供等を目的として当事務所の見解等を掲載したものです。
情報の正確性に細心の注意を払っておりますが、掲載した情報の使用に起因して生じる結果に対して一切の責任を負うものではありません。
また、本記事に関するご質問には一切お答え致しませんので予めご了承ください。  

リブラ会計事務所 | 鐘ヶ江輝臣税理士事務所では、福岡を中心に会計・税務サービスを提供しています。 顧問業務、経営管理支援、事業承継・相続対策、相続税申告にについては、数多くの提案や実績がございます。 お困りのことがございましたら、お気軽に当事務所までお問い合わせください。

Comments


bottom of page