消費税等の経理処理には、税抜経理と税込経理が認められています。 通常は、消費税の経理処理により税額が異なることはありませんが、個人の譲渡所得がある場合には、税額が異なる場合があります。本投稿では、なぜ税額が異なるかについて解説します。
消費税等の経理処理と譲渡所得の関係
譲渡所得の消費税等の経理処理は、その資産をその用に供していた事業所得を生ずべき業務に係る取引について選択していた消費税等の経理処理と同じ経理処理により行います。 例えば、事業所得等について選択していた経理処理が税抜経理方式の場合には、譲渡所得の金額を計算するときにおいても税抜経理方式で行います。この場合、譲渡所得の消費税等の事業所得等への影響はありません。 他方で、事業所得等について選択していた経理処理が税込経理方式の場合には、譲渡所得金額を計算するときにおいても税込経理方式で行います。この場合、納付すべき消費税等の必要経費への算入や還付される消費税等の総収入金額への算入は、その事業所得等の計算で行います。
【国税庁:No.6931 消費税等と譲渡所得】 https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shohi/6931.htm
譲渡所得の課税方法
譲渡所得は、財産の種類によって課税の方法が異なります。 例えば、不動産の譲渡益は分離課税となり、その年1月1日時点で所有期間が5年を超えているものは長期譲渡所得として20.315%、所有期間が5年以内は短期譲渡所得として39.63%なります。 他方で、不動産の譲渡損は、他の不動産の譲渡益と通算できますが、通算しきれない損失はなかったものとされます。 【国税庁:No.3202 譲渡所得の計算のしかた(分離課税)】 https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/joto/3202.htm
有利・不利の考え方
譲渡所得は収入金額から取得費を控除して計算します。税込経理の場合、収入金額に消費税額が含めて譲渡所得を計算するため、税抜金額と比べて譲渡所得が高く計算されますが、支払消費税は、事業所得等の必要経費となります。 したがって、法人税のように事業所得等と譲渡所得に同じ税率が適用されるのであれば、税抜経理と税込経理の有利・不利はありませんが、所得税は、事業所得等と譲渡所得で適用税率が異なるため有利・不利が発生します。 このため、事業所得等の税率と譲渡所得の税率を比較し、低い適用税率に多くの所得を発生させることで、税金対策が可能となります。
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