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【税理士が解説】米国株式の配当金や外国投資信託の分配金と確定申告の外国税額控除のやり方について

楽天証券やSBI証券で気軽に海外株式(米国株式)や外国投資信託への投資を始めることができるため、海外株式等に投資する人も増えてきました。海外株式の投資には現地の税金と日本と税金が課税されるため国際間の二重課税となる場合があります(現地での課税がない国もあります。)。 国際間の二重課税は、確定申告により日本の税金から控除することができますので、日本の証券会社を通じて米国企業への投資を例に確定申告における外国税額控除の留意点を解説します。

個別株式の配当金について

米国企業の配当は現地で課税されます。日本と米国は租税条約を締結しているため、米国での課税は10%に軽減されます(租税条約の適用を受けるためには一定の手続きが必要となりますが、通常は証券会社等が代行しています。一部の国では軽減税率ではなく源泉徴収後に還付請求を行う制度となっています。)。 その後証券会社が配当金を支払う際には、米国で源泉徴収された残額から更に20.315%の所得税等が源泉徴収されるので、個人投資家の手取額は71.8(=100*(1-10%)*(1-20.315%)となります。 確定申告しない場合には、日本株の手取額79.7と比べて税負担が増えてしまいます。

外国投資信託(公募)の分配金について

投資信託には二重課税を調整する措置はありませんでしたが、令和2年1月1日より、日本の所得税が源泉所得税される際に納付済みの外国税所得税を控除することで二重課税を調整する措置が設けられました。 具体的には外国所得税をグロスアップして日本の所得税を計算し、この所得税から外国所得税を控除した金額を源泉徴収します(住民税には二重課税調整制度の適用はありません。)。 手取額は、79.7(=A-B-C、A=100-10%(外国所得税10)、B(所得税等)=(A+外国所得税10)*15.315%-外国所得税10、C(住民税)= (A+外国所得税) *5%)となり、日本株の手取額 79.7 と同じとなります。 なお、この調整は自動的に行われるため投資家の手続きは不要です。

【日本証券業協会:投資信託等の二重課税調整制度開始のご案内】 https://www.jsda.or.jp/anshin/oshirase/files/toushin_tax.pdf

個別株式の配当金に係る外国税額控除について

日本の居住者が外国の法令により所得税に相当する租税(以下「外国所得税」)を納付している場合、確定申告により所得税から外国所得税を控除することができます。この制度を「外国税額控除」といいます。 外国税額控除の適用を受けるためには、確定申告書に「外国税額控除に関する明細書」を添付する必要があります 国税庁のタックスアンサーでは配当以外も想定した記載となっており、かなり難解な説明となっていますので、本記事では単純化するために米国企業からの配当金に限定して「外国税額控除に関する明細書」の記載方法について解説します。

1.外国所得税額の内訳

①.本年中に納付する外国所得税額 「配当金の支払通知書」や「年間取引報告書」に記載された金額を転記します。 ( 米国企業からの配当の記載例) 国名:「米国」 所得の種類:「配当」 税目:「所得税」 納付確定日:「通知書の日付(特定口座年間取引報告書や不明な場合はブランクで構いません。)」 納付日:「通知書の日付(特定口座年間取引報告書や不明な場合はブランク で構いません。)」 源泉・申告(賦課)の区分:「源泉」 所得の計算期間:「配当金の計算期間 (特定口座年間取引報告書や不明な場合はブランク で構いません。) 」 相手国での課税標準:「円貨:源泉徴収前の配当額(年間取引報告書の場合、配当等の額)、外貨:現地通貨で源泉徴収前の配当額 (不明な場合はブランクで構いません。) 」 左に係る外国所得税額: 「円貨:現地での源泉徴収税額(年間取引報告書の場合、外国所得税の額)、外貨: 現地通貨での源泉徴収税額 (不明な場合はブランクで構いません。) 」

②.本年中に減額された外国所得税額 配当金に係る税額が減額されるケースは多くありませんので解説は省略します。

2.本年の雑所得の総収入金額に算入すべき金額の計算

米国企業からの配当金に関係がない項目のため解説は省略します。

3.所得税額及び復興特別所得税限度額の計算

①.所得税額 配当控除や住宅借入金等特別控除などの税額控除、災害減免額を適用した後の金額(再差引所得税額(基準所得税額))を転記します (e-Taxで自動計算されます。) 。

②.所得総額 純損失または雑損失の繰越控除や上場株式等に係る譲渡損失の繰越控除などの各種繰越控除の適用を受けている場合には、その適用前のその年分の総所得金額、分離長(短)期譲渡所得の金額(特別控除前の金額)、一般株式等に係る譲渡所得等の金額、上場株式等に係る譲渡所得等の金額、申告分離課税の上場株式等に係る配当所得等の金額、先物取引に係る雑所得等の金額、退職所得金額および山林所得金額の合計額を転記します(e-Taxで自動計算されます。)。

③.調整国外所得金額 純損失または雑損失の繰越控除や上場株式等に係る譲渡損失の繰越控除などの各種繰越控除の適用を受けている場合には、その適用前のその年分の国外所得金額(分母の所得総額を限度。)を転記します。 通常(繰越控除や損益通算がない場合)は、1.外国所得税額の内訳(本年中に納付する外国所得税額)の「相手国での課税標準(円貨)」の合計額と一致します。 e-Taxは自動計算されませんので、下記の「外国税額控除の留意点」を参考に調整国外所得金額を計算します。

4.外国所得税の繰越控除余裕額又は繰越控除限度超過額の計算の明細

前年からの繰越額がある場合には、控除余裕額及び控除限度超過額の欄の「前年繰越額」に、前年の確定申告書に添付した外国税額控除の明細書の「翌年繰越額」を転記します。

【国税庁:タックスアンサーNo.1240 居住者に係る外国税額控除】 https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1240.htm

外国税額控除の留意点

  1. 申告不要を選択した配当は、外国所得税額、所得総額、調整国外所得金額に含めることができません。

  2. 調整国外所得金額は、令和元年の税制改正より、すべて繰越控除前の金額に改正されていますのでご留意ください(「令和元年版 外国税額控除を受けられる方へ(居住者用)」参照。)。

  3. 所得総額と国外所得金額について、上場株式等に係る配当所得の金額(黒字)と上場株式等に係る譲渡損失の金額(赤字)の損益通算を行った場合には、 上場株式等に係る配当所得の金額 は、譲渡損控除後の上場株式等に係る配当所得等の金額となります。したがって、赤字の金額が黒字の金額を上回る場合には、国外所得金額は零となります。[*1]。

  4. また、明文規定はありませんが、上場株式等に係る配当所得の金額に国外所得金額と国外所得金額額以外の金額が含まれている場合には、納税者が有利となる国外所得金額以外の金額から損益通算したものとして国外所得金額を算定して差し支えないと考えられます。

[*1] 平成30年以前の「国外所得金額(所令221の6①)」は、 措令第25条の11の1⑳の読替規定により「上場株式等に係る配当所得等の金額」及び「上場株式等に係る譲渡所得等の金額」は、損益通算及び繰越控除後の金額であることが条文上明確となっていました。 令和元年の改正後は「国外所得金額」は「所得総額(所令222条②)」と同じ読替規定( 改正後:措令第25条の11の1第20項 )となり、損益通算後である旨の記載が条文から削除されています。 この点については「令和元年の税制改正の解説」において「上場株式等の譲渡損失の繰越控除を適用しないで計算した場合の国外所得金額とすることとされました」と繰越控除の改正であることが説明されていることや、措法37条の12の2④では(上場株式等に係る譲渡損失の損益通算及び繰越控除)において「第1項の規定の適用がある場合における第8条の4の規定の適用については、同条第1項中「計算した金額(」とあるのは「計算した金額(第37条の12の2第1項の規定の適用がある場合には、その適用後の金額。」とする。」とされおり、 措令第25条の11の1⑳の読替規定 による「上場株式等に係る配当所得等の金額」は、 措法37条の12の2④ により更に読み替えられ、上場株式等の譲渡損失を控除した後の「上場株式等に係る配当所得等の金額」 となるため、損益通算については取り扱いに変更がないと考えられます。 (改正前:措令第25条の11の1第20項) 「総所得金額」は「総所得金額、租税特別措置法第8条の4第1項(上場株式等に係る配当所得等の課税の特例)に規定する上場株式等に係る配当所得等の金額(同法第37条の12の2第1項又は第5項(上場株式等に係る譲渡損失の損益通算及び繰越控除)の規定の適用がある場合には、その適用後の金額。以下、第211条の6までにおいて「上場株式等に係る配当所得等の金額」という。)、同法第37条の11第1項(上場株式等に係る譲渡所得等の課税の特例)に規定する上場株式等に係る譲渡所得等の金額(第37条の12の2第5項の規定の適用がある場合には、その適用後の金額。以下第221条の6までにおいて「上場株式等に係る譲渡所得等の金額」をいう。)」に掲げる字句とする。 (改正後:措令第25条の11の1第20項) 「総所得金額」は「総所得金額、租税特別措置法第8条の4第1項(上場株式等に係る配当所得等の課税の特例)に規定する上場株式等に係る配当所得等の金額、同法第37条の11第1項(上場株式等に係る譲渡所得等の課税の特例)に規定する上場株式等に係る譲渡所得等の金額」 に掲げる字句とする。

【国税庁:令和元年版 外国税額控除を受けられる方へ(居住者用)】 https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/shinkoku/tebiki/2019/pdf/040.pdf

外国投資信託(公募)の分配金 に係る外国税額控除について

上記の通り、外国投資信託(公募)の分配金は自動で二重課税の調整が行われますが、確定申告をする場合には分配時調整外国税相当額をその年分の所得税の額から控除する申告が必要となります。 これは外国投資信託(公募)の分配金に係る源泉所得税は、外国所得税が控除された後の金額であることに対応するものであり、一般の外国税額控除額とは区別して控除する必要があります(外国税額控除の明細書の6.外国税額控除等の計算の欄では、一般の外国税額控除額から分配時調整外国税額は控除して計算される仕組みであるため、重複して控除されることはありません。)。 なお、分配時調整外国税相当額は、証券会社から特定口座年間取引報告書等で通知された金額ですので、外国投資信託の分配金を申告する際は忘れずに分配時調整外国税相当額控除に関する明細書に転記する必要があります。

【国税庁:令和3年分配時調整外国税相当額控除に関する明細書】 https://www.nta.go.jp/taxes/tetsuzuki/shinsei/annai/shinkoku/annai/pdf/6-033-8.pdf

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本記事は、作成日時点の法令等に基づき、情報提供等を目的として当事務所の見解等を掲載したものです。
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