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【税理士が解説】決算書に「代表者勘定」はありますか?代表者勘定の問題点とその対策について

貴社の決算書に「代表者勘定」はありますか? 代表者勘定とは、その名前の通りで法人の代表者に対する債権・債務のことを指します。 通常の決算書では、「短期貸付金」や「短期借入金」の名称で表示されていることが多いので、決算書を見ただけではわかりませんが、決算書の添付資料である勘定科目内訳書を確認すれば、その内訳が記載されていますので、内訳に代表者や代表者の親族の名前(以下、「代表者勘定」)がある場合には留意が必要です。

短期貸付金(資産側)に代表者勘定がある場合

資産側の代表者勘定(代表者貸付)は、金融機関等から融資を受ける場合に大きなデメリットとなる可能性があります。 金融機関では、「資金使途」や「返済能力」が融資の判断材料と言われていますので、金融機関が代表者貸付がある会社に貸付を行った場合、本来の用途ではなく、代表者個人に資金が流れてしまう可能性が考えられます。 従って、代表者貸付がある会社は、その代表者勘定に合理的な理由がある場合を除いて、金融機関の印象を引き下げることに繋がります。 加えて、この代表者貸付に対しては、認定利息として法人側で代表者に対する貸付利息を計上する必要があります。利率は、会社が他から借り入れている場合には、その調達金利の平均、他から借入を行っていない場合には、1.0パーセント(令和3年中に貸付けを行った場合)の利息を徴収する必要があります。この利息については、会社の収益となりますので、法人税が課税されるとともに、代表者が意識しないうちに、代表者貸付が膨れて上がってしまったケースが見受けられます。

このようなデメリットを回避するためにも、早期に代表者貸付を解消することが望ましいと考えられます。

代表者貸付の解消方法

代表者貸付の解消方法ですが、代表者が返済できれば問題ありませんが、代表者に資金がない場合には、一般的に次のような対策を行います。

  1. 役員報酬を増額(又は役員退職金の支給)して返済原資を確保する方法

  2. 債務免除により代表者勘定を消滅させる方法

  3. 役員貸付金を現物配当により解消する方法

  4. 代表者の個人資産を法人に売却して代物弁済により回収する方法

  5. 保険を活用した役員貸付金解消スキーム など

どの方法を採用するかによって、解消までの期間や税負担等が異なりますので、最適な方法を選択する必要があります。

短期借入金(負債側)に代表者勘定がある場合

負債側の代表者勘定(代表者借入)は、上記の代表者貸付と異なり、金融機関の融資判断上はある種の自己資本として取り扱われる場合があるため、直ちにデメリットにはなりませんが、実務上は、下記のような問題があります。

1.資金繰りの問題

代表者借入があるということは、何らかの理由で会社の資金が不足し、代表者が個人のお金を会社へ貸付ている状態です。 一時的な資金繰りのために貸付けは問題ありませんが(その場合、代表者借入は短期的に解消されます。)、慢性的に代表者借入が計上されている状況は、会社の資金繰りに問題がある可能性があり、好ましい状況であるとは言えません。 代表者借入が生じたことは様々な理由があると思いますが、その要因を分析して、適切対応することが望ましいと考えられます。

2.相続税課税の問題

代表者借入は、会社側からすれば債務ですが、代表者側からすると資産(貸付金)となります。 この貸付金は相続税の課税対象であるため、企業オーナーから相続税のご相談を受ける場合、この貸付金が問題となることがあります。 企業オーナーの財産は、自社株式が多く占めていることが多くありますが、この自社株式は、相続税法で定めた評価方法で算定するため、会社の純資産ほど高い評価とならないことがほとんどです。つまり相続税評価上は、株式として保有している方が相続財産は低く算定させます。 他方で貸付金は、原則として額面による評価となるため、自社株式と比べて高い評価額となります。例えば、会社が債務超過の場合には、自社株式の評価はゼロ円となりますが、代表者の貸付金は額面での評価となり、この貸付金に相続税が課税されます(貸付金の回収が不可能又は著しく困難であると見込まれるときはこの限りではありませんが、これらの事由は単に債務超過であるということでは認められていません。)。加えて、会社から直ちに返済を受けることができない場合も多いため、相続税の納税資金に充てることもできません。

このようなデメリットを回避するためにも、早期に代表者借入を解消することが望ましいと考えられます。

代表者借入の解消方法

代表者借入の解消方法のひとつとして、代表者の貸付金を放棄する対策があります。 この対策は、会社が借入を返済しなくて済むため、債務の免除額相当(債務免除益)に課税されます。 ただし、この債務免除益は、会社に繰越欠損金があれば実質的に課税されませんので、例えば、期限切れとなる欠損金[*1]がある場合には有効な対策のひとつとなりますが、いわゆる「跳ね返り贈与(株主間贈与)」に留意する必要があります。

この「跳ね返り贈与(株主間贈与)」とは、代表者と会社の株主が異なる場合(代表者以外の親族株主を含む。)において、代表者が債権放棄により会社の純資産がが増加し、その増加部分について、代表者から代表者以外の株主に対する間接的な贈与のことをいいます。 この結果、会社の代表者以外の株主に贈与税が発生する可能性がありますので留意が必要です。

[*1] 欠損金の繰越期間は10年ですので、10年を超える場合には切り捨てられます。 【国税庁:タックスアンサー No.5762 青色申告書を提出した事業年度の欠損金の繰越控除】 https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/hojin/5762.htm

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